不二現代書展

第24回不二現代書展で特別賞を受賞された方々の喜びの声を御紹介いたします。

第24回不二現代書展受賞所感

新和様・漢字造型書作家協会賞 阿部 彩雪 文部科学大臣賞 外間 海楽
新和様・漢字造型書作家協会賞 指宿 香祥 兵庫県知事賞 吉田 玉雪
新和様・漢字造型書作家協会賞 右近 幽草 神戸市長賞 平田 滄石
新和様・漢字造型書作家協会賞 大石 分水 神戸市教育委員長賞 甲谷 景子
新和様・漢字造型書作家協会賞 吉阪 淀水 石橋犀水賞 伊藤 翠芳
審査会員推挙 小林 映山 石橋犀水賞 和田 松苑
審査会員推挙 齋藤 祥泉 創立60周年特別賞 亀川 清苑
審査会員推挙 長嶋 翠月 創立60周年特別賞 三宅 小華
審査会員推挙 橋本 桃舟 創立60周年特別賞 吉川 早苗
審査会員推挙 美濃部 絹子 創立60周年特別賞 依田 蘭香
文部科学大臣賞 景山 鳳苑  

新和様・漢字造型書作家協会賞 阿部 彩雪

未曾有の大震災に見舞われ、ろうそくの生活を余儀なくされた数日後、ようやく灯った燈火の下、頭を過ったのは不二現代書展の締切り日。明日からはライフラインの揃わない娘家族五人が避難して来る。書くのは今晩しかない。

寒波到来で雪の舞う夜、暖房もきかない部屋で書いた十枚。しかし、出品に辛うじて耐えうるのはたった一枚のみ。これで良いのだろうかと迷いつつ出品させていただいた作品でした。

このような時期に、若輩者であります私にはあまりにも重い、新和様・漢字造型書作家協会賞という栄誉ある賞をお授けくださいました石橋鯉城会長先生初め書先生方の御温情に、深く感謝申し上げます。

これから生きていく上での価値観が引っ繰り返ろうとする矢先、心の支えであった書の道を諦めることなく、また一歩踏み出しなさいと温かいメッセージを授けて頂いたものと受け止め、「学・芸・道三位一体」を心掛けて参りたいとの思いを一層強く致しました。

ここまでお導きくださいました佐藤平泉先生、伊藤泉鶴先生初め諸先生方、そしていつも勇気を与えてくださった書友の皆様に誌面をお借りして心より御礼申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会並びに本展の益々の御発展を祈念申し上げ、御礼の言葉とさせて頂きます。

新和様・漢字造型書作家協会賞 指宿 香祥

この度栄譽な新和様・漢字造型書作家協会賞に選出されました由の祝電をいただき、身に餘ることと心より御禮申し上げます。

一度は出品を斷念しました。東日本大震災で千葉縣の我が家は、屋根瓦が崩れ、家中足の踏み場もないと言う諺の通りの有様、又茨城の父(滿百四歳)と連絡が取れず、作品に打ち込む氣持には到底なれませんでした。しかし心の奥では、第二十一回展で審査会員に推擧されたことの責任、まして、東北の方々の事を思えば、片付ければ作品が書ける家がある、その後父との連絡もつき、二十九日に我が家に戾ることが決まり「千の風」の後押しを受け二十七日に一氣に書きあげました。紙は安徽省製、墨は上海墨歴の紫英(2cm×2cm)、筆は特注の大筆を用いました。風の草書、點畫を省略、誤字にならぬよう古典を調べての字形・私なりの一字書に向う氣持、方向性が見えてきました。六歳より習字の特訓を毎晩父より受けておりました。その父の存命の内に賞を戴き親孝行が出來ました。夕食に祝電が飛び込み喜びを共に味わいました。喜壽を迎えた私への祝となりました。「繼續は力なり」の言葉通りの人生です。

最後になりましたが、書の道をお導き下さいました石橋犀水先生、石橋鯉城先生、應和先生を始め、諸先生方、多くの書友、友人の皆々様に感謝の氣持で一杯です。これからもどうぞ御指導をお願いいたします。

ありがとうございました。合掌

新和様・漢字造型書作家協会賞 右近 幽草

日本書道教育学会創立六十周年を迎えた記念の年に栄誉な「新和様・漢字造型書作家協会賞」を賜り感謝の念でいっぱいでございます。これも偏に石橋会長先生をはじめ、審査にあたられました諸先生方のご厚情に心より御礼を申し上げます。

新和様の作品づくりは、氣張らず、技巧に走らないよう自然体で書くことを心掛けているつもりですが、その都度選文に対しての構成、表現方法などの試行錯誤を重ねています。私にとっては、唯一、書友仲間の助言と書道展を観ることが心の糧となっております。

今回の作品は、松根東洋城の句で子どもの頃を思い出します。父とよく散歩し一面のクローバーの上に寝ころび口癖である父の言葉「くよくよするな、広い空のような心を持つんだ…。」長閑な時代でした。素朴な表現ができたらと願いつつ書いている時に、東日本大震災が起き続いて福島原発事故が起きました。痛ましい被害ニュースが毎日報道されており、書くことに挫折して氣持が中断し締切三日前になり慌てて書きあげ、作品の善し悪しの判断もできないまま六枚の中から選び締切日に送りホッとした有様です。

この度の受賞に恥じないよう老いていく一年一年を大切に精進して参りたいと思います。最後に、日本書道教育学会の益々のご発展をお祈り申し上げます。

新和様・漢字造型書作家協会賞 大石 分水

四月四日夜、祝電が届いた。

孫の小学校入学祝いかと思ったが、私宛だという。エイプリル・フールは過ぎたし、この時節ふざけたことをする人もいるものだと、少々立腹しながら開いてみると、不二現代書展での受賞という知らせであった。つい先日出品したことも忘れていた。

未曾有の大災害の直後だけに、作品が書けて出品できただけでもいいと思っていた。

この受賞も心から喜べない。何年後になるか分からないが、被害に遭われた方々が何とか立ち直り、復興のメドが立った時、そう言えばあの年あの頃受賞したんだなと、しみじみと喜びを噛み締めることができるのかもしれない。

そう言えば地震後一週間を過ぎ、電車も一部復旧した時、お彼岸でもあったので犀水先生のお墓にお参りに行った。お墓の柵が壊れていて心が痛んだが、この度の受賞も犀水先生のご加護でお参りが効いたのか?

若い頃犀水先生から言われたことが、この頃漸く少し分かりかけてきたような気がする。とにかく「いい書」が書きたい。書けるようになりたい。そして、「ことば」を大切にしたい。「書はことばを借りた心の絵」、「書はことばの写真」こんな独り言をブツブツ呟きながら、これからも筆を持ち続けて行きたい。

新和様・漢字造型書作家協会賞 吉阪 淀水

この度は夢想だにしなかった身に余る受賞、誠に有難うございました。会長石橋鯉城先生をはじめ審査に当たられました諸先生のご厚情と心より御禮申し上げます。

新和様・漢字造型書作家協会賞と賞名を再確認し賞の重さに思わず身の竦む想いでございます。今日この栄えある賞を賜る礎となったのは、大阪書学院での学びが原点でございます。昭和54年度卒業、その四月より研究家で受講を続け現在に至っております。「継続は力なり」この長い期間を一期の休講もなくひたすら受講を続けられたのは、ある保育園での毛筆による文字指導という任務でございました。卒業と同時に基礎から園児さんとやり直す覚悟で始めました。紅葉のような手で初めて筆を持ち真剣なまなざしで取り組む姿勢がうれしく、励まされ充実感溢れる至福のときを持つ事が出来ました。卒園後も小学、中学、高校、更に大学へと進学後も通い続けてくれる生徒さんも多く気がつくと親子二代で習い続けてくれる嬉しさも幾度も経験でき、この四月には教職に就いた人が退部を撤回、再び笑顔を見せてくれる事になり、私も益々研鑽を積まねばならないと痛感いたしました。こんな時日本書道教育学会の存在に厚く感謝申し上げております。

ここに至るまで今は亡き長久大徳先生をはじめ多くの良き師に恵まれました事を心より感謝申し上げます。そして今回の出品にもご指導を賜りました岡晴雲先生、誠に有難うございました。最後に美しいカトレアの祝電を賜りましたのは奇しくも亡き夫の33回忌の前夜でございました。

今後とも精進して参る所存でございます。どうぞご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展をお祈り申し上げます。

審査会員推挙 小林 映山

この度、思いがけず「審査会員推挙」の報を頂き驚きと共に信じ難い思いで一杯です。出品する。続ける。この思いだけで今に至っている私です。未熟な作に身に余る評価を戴き心よりお礼申し上げます。これも偏に審査の諸先生方のご温情と学生時代より書の道に導きご指導下さった故竹内観雪先生のお蔭と心より深く感謝申し上げます。又いつも励まし支え続けて下さる諸先輩方と書友の方々に心より深く感謝申し上げます。

今回の作は、何を書くか決められず迷っている私に、平野芳璋先輩から新聞記事より色々と照会し提供して戴いた一文です。東日本大震災、この大惨事の後、今だから伝えたい。この気持ちを精一杯書いてみたい。しかしながら修練不足の上、感情だけが先走りから廻りばかりです。少し落ち着き心静かにと思って書いた締切りギリギリの作でした。表現の難しさを痛感いたしました。構成も然る事ながら墨色の変化、線質の強さ、深さ、広がりと課題は山積みです。基礎力の強化を目指し、一つ一つ習得に努力していきたいと思います。

この度の幸運を励みに初心を忘れず、今一度心を引締めて一層精進して参ります。今後ともご指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが(財)日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

審査会員推挙 齋藤 祥泉

この度は、第二十四回不二現代書展において審査会員推挙の特別賞をいただき誠に光栄至極に存じますと共に心より感謝申し上げ厚くお礼申し上げます。

思い起こせば昭和五十二年に公務員生活退職後の将來を考え何かやることを模索中に先輩の方から公民館活動の書道教室に誘いを受けて入会し、長谷川白楊先生のご指導を賜り、以来三十有余年にわたる間に途中から現代書道として新和様という新しい分野の書に取り組むことになりましたが、なかなか思うようにならず、題材の選定等に苦労しながら良寛・藤村等の詩歌、自作文等々、試行錯誤しながら取り組む中で白楊先生の懇切ていねいなご指導を頂きながら、牛歩の如く遅速の道を歩んで参りました。

今回の受賞は私にとっては大変意義深いものとして最高の喜びを感じている次第です。

それは、今年秋には満八十歳となり、人生長寿の祝い年令の傘寿を迎え、小生の人生に一区切りつく訳です。年々体力、気力、行動力は衰退の一途を辿っている状態ですが、今後はこの度の受賞を機会に、まだこれからも書道に取り組めよと云う叱咤激励の言葉と受けとめ、「継続は力なり」を信条に体力の続く限り老体に鞭打ちながら研鑽に努力していきたいと思っております。

最後になりましたが、永年にわたりご指導下された長谷川白楊先生はじめ、ご審査に当たられた先生方に心から感謝の意を申し上げ、日本書道教育学会の益々のご発展を祈念申し上げ愚生の所感といたします。

有難うございました。

審査会員推挙 長嶋 翠月

四月四日夜九時半過ぎ、美しいカトレアの祝電が…

この度は図らずも審査会員推挙を賜り、朗報に感激しております。

折しも宮城県は、三月十一日未曾有の巨大地震(東日本大震災)発生で大混乱の最中、「電報です」の知らせに一瞬戸惑いました。余震の続く中で気持ちだけは焦るものの、なかなか集中できなくて…特に一字書は瞬間の勝負、「嵐」を書く心境は複雑で、出品するだけで精一杯でした。拙作に目を止めていただき、本当に光栄でございます。

思い起こせば、岩手書学院一関校に仙台から通い続けて二十年くらいになりますでしょうか。現在も佐藤平泉先生の「作品研究」に籍を置いております。スリムな先生のダイナミックな筆法は魅力的で、いつも刺激をいただいております。

これまで長い間筆を折らずに書道を続けてこられたのも、天国に永遠に単身赴任をした主人のお蔭、心の支えがあったからといつも掌を合わせております。

先日、津軽三味線の師匠とともに数人で、東松島の避難所二ヶ所に慰問に行って参りました。微力ではありますが、少しでも被災地の皆さんの心に津軽の撥音が響くことを願って…これからも数ヶ所慰問の予定が入っており、一日でも早い復興を願っております。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

審査会員推挙 橋本 桃舟

第二十四回不二現代書展では、石橋鯉城先生はじめ審査員の先生方に、審査会員推挙に選出して頂きまして有難うございました。

厚くお礼申し上げます。

このような大きな賞を頂けましたことは、長年ご指導下さいました故竹内観雪先生と、いつも心強いアドバイスをして下さる書友の皆様のおかげと感謝して居ります。

この受賞電報が届き、本当なのだろうかと半信半疑の驚きと同時に、身に余る重い賞ではございますが、今までの努力が形となった気がして、経験した事のない大きな喜びを味わう事ができました。

この度、東日本大震災が起き、娘が帰省しました。メディアで伝えられる被災者の実情を知り、書を続けて居られる環境であることに感謝し、締め切り間際にもう一度書き直した作品が今回の出品となりました。

また、制作に当っては、聯落ちに俳句を二行に書き、春の句ではありましたが、強さと余白を考慮し、自分の表現力に変化をつけようと試みました。

今回の受賞は、私にとりまして、気持の節目となりました。そしてこの賞の重みを胸に持ち続け、今後、さらなる精進をして参る所存でございます。これからも、よろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。

審査会員推挙 美濃部 絹子

大震災に打ちのめされ、それでも桜が咲き季節がめぐり来ることに不思議な思いさえ抱いていた時、「審査会員推挙」という美しい蘭の電報を戴きました。身に余る賞をいただき、驚きと同時に感謝の気持で一杯です。

現代書展には早くから出品して参りましたが、自分の思いが空回りし、逡巡するばかりでした。今回は昨年中国の奥深く、四川省九寨溝を旅した時の印章です。聳え立つ山々が連なり、その中でチベット族の人々は独特の厚い信仰に生き、彼らが「うみ」と呼ぶ不思議な色を湛えた数々の湖。湖面は周囲の山々と空を鏡の如く映し出し、静寂そのものゝ無音の世界。時折ふと白いさざ波が立ちキラリと光ってすぐに消えてゆく。圧倒的な大自然の中で見たさざ波は、悠久の自然と共に一瞬を生きる人間の命の様であり、感慨深く一文と致しました。書作に当りましては、上下が分離し一体感を得るのに難しさがありました。

そして今、命の強さを少しでもと願いを込めて書きました。さまざまな思いも時間切れとなり、心残りのまゝ提出致しました。

思いがけないこの受賞を励みとして、より良い作品が書けますよう、一層の精進をして参りたいと存じます。今後共書先生方のご指導をよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会、並びに本展の益々のご発展をお祈り申し上げます。有り難うございました。

文部科学大臣賞 景山 鳳苑

ようやく春らしい暖かさを感じ始めた四月、一通の電報が届きました。思いもよらぬ朗報に驚き、何度も読み返した後、家族で喜んだことを昨日のように覚えております。これも偏に、理事長先生をはじめ、審査にあたられました諸先生方のご温情のおかげと、心よりお礼を申し上げます。歴代の受賞者は、書に精通しておられる先生ばかりで、私のような若輩者には全く縁のないものと思っておりましたが、書道の素晴らしさを教えてくださった恩師・進藤正則先生と、書友の皆さんがいつも温かく励まし指導をしてくださったおかげと感謝の気持ちで一杯です。

私事ではありますが、長年の夢であった高等学校書道教諭として赴任することができ、この四月より新しいスタートを切りました。ちょうど節目の年となった今年、このように栄えある賞を賜りましたことは、何よりの励みであり、この上ない幸せを感じております。

今回の作品は、大胆な表現をテーマに、それならば短文で心を打つ「山頭火の句」がいいと思い、本を手に一句一句読み進めていきました。その中で目に留まったのは、自然を愛す山頭火の、どこか物哀しいこの句でした。題材探しにも時間がかかり、構想の段階から試行錯誤の繰り返しで、思い通りに作品制作が進みませんでしたが、そんな中で私が心掛けたことは、限られた時間を集中して書と向き合うことでした。日々の仕事に追われながら、筆を持つ時間を作ることに努め、無心で取り組みました。今回の受賞を機に、さらに精進し自己研鑽に努める所存です。今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します。

最後になりましたが、学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

文部科学大臣賞 外間 海楽

この度、第二十四回不二現代書展に於きまして、思いもかけず文部科学大臣賞を賜り誠に有難うございます。

祝電を頂いた瞬間は、驚きと感激で胸が一杯でございました。

日頃ご指導をいただいております玉城芳岳先生はじめ、書友皆様の支えのお陰と心より御礼申し上げます。

今年一年飛躍の年にしたいという思いから一字書の「飛」を選び、又今回超長鋒の筆二本を合わせて書くということに挑戦しました。

日頃の作品制作におきましては、墨色や線の表現などに気を配ることは勿論ですが、伸びやかに・楽しく・思いのまま・筆を運ぶように努めています。

自分を表現できる書が好きでこれまで励むことができました。このような大きな賞を戴きましたことを生涯の励みに、一層精進してまいりたいと存じます。今後とも御指導の程よろしくお願い申し上げます。本当に有難うございました。

末筆になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

兵庫県知事賞 吉田 玉雪

この度、第二十四回不二現代書展において栄ある「兵庫県知事賞」受賞のお知らせをいただき身に余る光栄と存じます。これもひとえに審査に当られました会長先生をはじめとする諸先生方のご厚情の賜と深く感謝いたします。また、日頃ご指導いただいております船橋玉苑先生にもこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。

ここ数年、規格の大きい作品を出品してまいりましたが、今回は自宅にも飾れる作品をという思いから、少し小さい規格に山頭火の句を一行書きにし出品いたしました。表現のよりどころは木簡。のびやかで飾らない雰囲気が山頭火の句にあうのではないかと考えました。空間のとり方、リズム等、課題を残したままでの出品ではありましたが、書いていてとても楽しい作品でした。その作品でこのような栄ある賞をいただきことができ本当にうれしく思います。私は高等学校で書を教える立場にありますが、漢字仮名交りの書の学習は生徒にとってより主体的にそして達成感を味わうことができるものの一つで、その意味からも指導する者にとっても楽しいものです。しかし、その指導は難しく、いつも力不足を感じております。今回の受賞を機に、さらなる努力を重ね、よりよい指導ができるよう精進をしてまいります。今後ともよろしくご指導下さいますようお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈りし、お礼の言葉といたします。

神戸市長賞 平田 滄石

この度、第二十四回不二現代書道展において神戸市長賞という栄誉ある賞を賜り誠に有り難うございます。

私のような初めての出品者がこのような栄えある賞を戴けることは夢のようでございますが、これも偏に石橋会長先生のご指導の賜と心からお礼申し上げます。

今回賞を戴いた一字書は十数年前から時々不二誌一般版に出品しておりましたが、毎月出品し、興味を持ち始めたのは写真版に掲載された作品に石橋会長先生の身に余る評を戴いた三年前頃からではないかと思います。当時は一字書を書くのが面白く楽しく書いていましたが、最近は脳細胞の劣化か、書く文字の形に新鮮さを欠き、線にも変化がなく平凡な大字と言った感じがしています。

今度の現代書展の出品も迷っておりましたが、事務局からのお誘いもあり思い切って出品を決めました。しかし、いざ書くとなると何をどう書くか、紙は、墨の色は等、新たな課題。

東洋的で好きな「禅」を家にあった書きくずしの紙で構想を練り、文字の配置や、筆使いにも気を付けて書き上がったと思ったら紙の方向が規格違反。もう字を選ぶ気力もなく、同じ禅を少し横に広げて、思いっきり筆を運びました。これを機に再び書く喜びを得たいものです。

  新たな夢を描きながら

最後になりますが、日本書道教育学会の益々の発展を心からお祈りいたします。

神戸市教育委員長賞 甲谷 景子

このたびの大震災におきまして、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日でも早く、安心でき、また幸せを感じることのできる穏やかな日が訪れますように、少しでもお役に立ちたいと願い続けております。

このような大変な状況の中、審査をしていただきました先生方、また事務局の皆様にも感謝の気持ちで一杯でございます。その上、身に余る賞を賜り、厚く御礼申し上げます。これまでご指導賜りました諸先生方、それからいつも温かく励ましてくださる書友の皆様のおかげと、ありがたく存じます。

今回の作品は、寺山修司の歌ですが、この歌が喚び起こす人生のせつなさや、いとおしい気持などを表現できたらと思い、墨色にも心を配りました。書き上げてみると、こころならずも余白ばかりが目立ちます。今は力不足で、それを克服することができませんでした。その余白を、観てくださる方が、少年の頃の郷愁で埋めていただければ、ありがたく存じます。

三月十一日以来、今まで以上に言葉の重みを感じております。これからも琴線に触れる言葉を、書を通して表現できるように、心を養い、精進してまいります。今後共よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々の御発展を心より祈念申し上げます。

石橋犀水賞 伊藤 翠芳

この度は第二十四回不二現代書展におきまして石橋犀水賞という栄えある賞を賜り厚くお礼申し上げます。犀水先生が提唱されました新和様に出会いそれまで巷でよく目にする漢字仮名交りの書とは違う美しい、書美を表現している新和様にひきつけられ、師匠佐藤平泉先生に”無”からご指導を賜り今日に至っております。このたびの受賞は審査をいただき目を留めて下さいました会長先生をはじめ、諸先生の御厚情、そして師匠のいつも変わらない温かなご指導の賜と心から感謝致しております。さて出品作は岩手の歌人啄木のうたを最初は文鳳会岩手錬成会で御指導をいただき、しばらく試行錯誤を重ねようやく終盤に入ろうと考えていた矢先、3月11日東日本大震災が起きました。ご存知のとおり被害が甚大でしばらくは何も手につかずにおりました。

職場では学生を津波で流され不明のままで、又親戚知人にも被害者が出て茫然自失の状態でおりました。その様な中3月25日の締切が数日に迫った頃、私は震源地の近くに住みながら被害も受けず書道の出来る自分がどれ程幸せな人間化と、はっ!と我に返ったのを覚えております。そしてその時、兎に角「書く事が」「出品する事が」被災された方々へ届ける私の祈りだと気がつきました。十分な時間は残されておりませんでしたが何とかして作品に整えて、郵便事情を懸念しながらも締切日ギリギリに出品させて頂くことが出来ました。

この様な応募ではございましたが図らずも身に余る評価を賜ることが出来まして心から嬉しく感謝申し上げます。この大きな受賞を被災された方々へご報告し、私自身生涯の励みとしてこれからも尚一層精進を重ねて参る所存でございます。今後共御指導賜ります様によろしくお願い申し上げます。誠に有がとうございました。

石橋犀水賞 和田 松苑

この度、第二十四回不二現代書展におきまして石橋犀水賞を賜り、誠に有難うございました。審査結果よりも一日早く届いた原稿依頼の書簡によって、思いもよらない受賞を知り、驚きと感激で胸がいっぱいになりました。

偏に、新潟書学院特設科で御指導くださいます長谷川白楊先生、並びに審査に当られた先生方のお蔭と心より御礼申し上げます。また、折々励ましてくださる書友と温かく見守ってくれている家族に感謝しております。

今回の題材は、テレビ放映された「坂の上の雲」の主題歌、小山薫堂氏の詩です。作品制作にあたりましては、漢字とかなの調和、全体の構成、紙、墨色、筆、そして、私自身の思いは表現できているかなど、悩んだことの一つ一つが今後の課題となりました。この度の受賞を励みに一層精進してまいります。今後とも、諸先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々の御発展を心よりお祈り申し上げます。

有難うございました。

創立60周年特別賞 亀川 清苑

この度は思いがけず、第二十四回不二現代書展におきまして、創立60周年特別賞を賜り厚く御礼申し上げます。

会長先生はじめ諸先生方と、日頃ご指導頂いております岡晴雲先生のお蔭と深く感謝しております。

両親の墓のある岡山県玉野市の海の見える風景は、穏やかで心いやされ、その情景を作品にしたいと書きましたが、東日本大震災直後に「こんな呑気な分を書いてよいのか。」自問しながらの出品でした。

書友に恵まれ、日々楽しく書を学んでおります。特に、自分の言葉で自由に表現出来る新和様の世界は、魅力にあふれ、いつもワクワクした気持ちで取り組んでおります。

この受賞を励みに一層精進してまいりたいと存じます。今後共御指導賜りますよう、お願い申し上げます。

最後に、日本書道教育学会の益々の御発展を、心より御祈念申し上げます。

創立60周年特別賞 三宅 小華

「引く波の跡美しや桜貝」今この状況の時に題材にする句ではなかったと、無神経さを恥じております。大震災で津波の被害に遭われ命を落とされた沢山の方々、深い悲しみの中で毎日を過ごされている方々にまずはお詫びを申し上げなければなりません。只、言い訳をお許し頂けますなら、この句を選びましたのはのどかな春を待ちわびていた真冬の頃のこと。しかしその後、昨秋誕生しました孫の入院等が重なり筆を持つこともままならない日々が続いてしまいました。そして息子宅からの帰路、新千歳空港で今回の大地震に遭遇いたしました。出品締切が迫る中、可愛らしい桜貝をイメージし薄桃色の画仙紙に淡墨で、という当初の構想を、濃墨で真っ白い紙に書くことに変更するだけで精一杯でした。

新和様は、文字を書くという制約された世界の中で言葉に感情をのせ、自由に表現できることが魅力でもあります。奇をてらうことなくわかり易い文字で、との思いがあり草書体は避けたいと心がけている筈でしたが、やはり力不足は否めず、今回も又書体の変化に力を借りてしまいました。

遅々とした歩みの中、この度は思いもよらずこのような身に余る賞を賜ることとなり、これからの学びに何よりの励みとなりました。

これまでご指導下さいました諸先生に感謝を申し上げますと共に、不二現代書展の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

そして、東北の浜辺に一日も早く穏やかな日常が訪れますように―。

創立60周年特別賞 吉川 早苗

この度は、財団法人日本書道教育学会創立60周年記念賞を賜り、誠にありがとうございました。この受賞を励みに、これからも精進したいと思います。

私は、故竹内観雪先生から長い間「下手くそ」の代名詞で呼ばれ続け、添削の作品に朱墨で「下手くそ」と書かれたり、「どうしたら、そんなに下手にかけるのか教えてくれ」と言われ、観門会では劣等生的な存在でした。しかし、自分なりの書を書ければいいと思っておりましたので、ずっと続けてまいりました。

「一字書」は、私には幸運な出会いでした。私の字は、ある人から「変わった字」とよく言われていたのですが、それを個性として表現できれば「書」になるのではないかと思いました。「一字」なら短時間でも沢山書くことができます。「不二」誌上で会長石橋鯉城先生から沢山のお言葉を賜り、それを励みに頑張っております。

今年は不幸な大災害があり、心も沈みがちですが、今、元気で好きな事ができる事に感謝したいと思います。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈りいたしますと共に今後もご指導ご鞭撻をよろしくお願い致します。

創立60周年特別賞 依田 蘭香

この度創立60周年特別賞を賜り、喜びの氣持ちで一杯でございます。これも石橋鯉城會長先生をはじめ、審査員の諸先生のご厚情の賜物と深く感謝申し上げます。

昨年の第二十三回不二現代書展で入選でしたので、次回は受賞者の一人として授賞式に出席できるように精進しようと決意いたしました。自作文で作品をと考えておりましたが、意のままにならず表現の難しさを痛感し、題材選びに苦勞しました。準備に時間がかかり、出品期限直前まで構成も定まらず、苦闘しておりましたところへ、恩師山本溪雪先生よりお教室へ來て書いてごらんなさいと、お聲をかけて戴き、最後の機會と思いお教室で無心で書き上げました。筆、紙、墨を變え、數枚書いてはご助言を頂きながら心ゆくまで書きました。満足とは申せませんが何とか出品可能な作品として、一先ず安らかな氣持ちで歸宅しました。今回この樣に身に餘る賞を賜ることが出來ましたのは、何よりも平素の御指導の賜物と、今後も日々の努力を重ねるべく決意を新たにいたしました。この受賞を心の糧とし、更に精進して参りたいと存じます。まことにありがとうございました。今後もご指導の程、よろしくお願い申し上げます。

末筆ではございますが、東日本大震災で被災された方々に謹んでお見舞い申し上げると共に被災地の復興、及び日本書道教育學會の益々のご發展を心よりお祈り申し上げます。