公益財団法人日本書道教育学会

受賞所感

特別賞を受賞された皆様の受賞所感をご紹介いたします。

受賞おめでとうございました。

第70回書道學會展 受賞所感

第70回優秀作品紹介はこちら

内閣総理大臣賞 石塚 五牛

石塚 五牛

この度は第七十回書道學會展に於いて全く予想していなかった内閣総理大臣賞を賜り身に余る光栄です。これも偏に石橋鯉城先生をはじめ審査に当たられました諸先生方の御温情によるものと厚く御礼申し上げます。

今回の作品を書くに当たってどんな字を書くか―字の選出に迷いました。

今世界中の人々は、新型コロナウイルスとの戦いで大変な時です。この暗い世の中の雰囲気を吹き飛ばす様な字があればと思い探しました。色んな字がある中で日の付いた「曟(シン)」の字に心奪われました。この字は象形文字で「史記」や「書経」等に使われている字で、今はあまり見られませんが解字すると日(太陽)が三つ(三ケは沢山の意)もあり、結局大変明るく太陽がふるいたって昇り、そして生気が活動し始めるさわやかな朝を表わしている字です。今は「晨」の字です。こんな素晴らしい字は外になかったのでこの字を書く事に決めました。

願わくば、この字の様に希望に満ちた、明るい世の中に一日でも早くなる様、心を込めて書きました。

最後になりましたが日本書道教育學會の益々の御発展をお祈り致します。

中国大使賞 立川 井梧

立川 井梧

この度、節目の第七十回書道學會展に於いて、栄誉ある中国大使賞を賜り浅学非才、身に余る光栄に存じます。感慨無量の喜びと感謝の念で一杯であります。これも偏に審査にあたられました石橋鯉城先生はじめ諸先生方のご厚情と厚く御礼申し上げます。

日本伝統芸能「獅子舞」は舞を披露して悪魔祓いや疫病を追い払う行事として存在しています。まさに今、拡大している未曾有の新型コロナウイルス感染症を一刻も早く退治させ、終息を願っての題材選びです。

今回の大字作品は、含墨量潤渇太細遅速の要素を取り入れた表現に変化と調和、余白美を基盤に、字形の特徴として「獅」の筆順を替え入筆、「子」二画目強調、「舞」一、二画沈着に、「舛」渇筆幅広で安定感を表現。獅子の勇壮に舞狂うさまを描きつつ、筆意をもって書き出しから一気貫通した運筆に思いを込めて真正面から制作しました。

漢字造型の少字数の書表現は、文字造型そのものを表現する一方、可能性を尊重し、秩序を保ちながらも自由闊達な造型に課題意識をもって研鑚してまいります。

この受賞を糧にし、恩師のご教示を忘れることなく日々新にして精進してまいります。

末筆になりますが、日本書道教育學會及び諸先生方のご発展を祈念申し上げます。

尾上柴舟賞 二宮 桂秀

二宮 桂秀

 歴史と伝統を承け継ぐ、第七十回書道學會展におきまして、栄誉ある「尾上柴舟賞」を賜り、身に余る光栄に驚きと喜び、感謝の念でいっぱいでございます。祝電を開いては喜びを噛み締めております。

これも偏に石橋会長先生をはじめ、選考に当たられました諸先生のご厚情の賜と心より深く感謝申し上げます。

今回の作品は、金塊和歌集から十二首を十二枚の料紙に散らし書きにしたものを折帖形式に致しました。料紙に映える墨色、穂先を効かせた張りのある線、文字での過剰な表現を避け自然な流れと余白の美、を心がけて料紙と向き合いましたが、鮮やかな料紙の色に墨の色が負けて線が冴えず、思い描いていた墨色が出せないままの提出となりました。料紙の色に合わせた墨色、墨量は次の課題と致します。

千利休の名言の中に「稽古とは一より習い十を知り、十よりかへるもとの一」とありました。初心に戻り、常に学ぶ心を自分の指針とし、道に迷うことなく前進できますように、一層精進して参りたいと思っております。

今後共、諸先生、書友の皆様方のご指導を賜りますようお願い申し上げます。

末筆になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展をお祈り申し上げます。

石橋犀水賞 秋山 凌雲

秋山 凌雲

先ずは、日本書道教育學會が創立七十周年を迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。この節目の年に、栄えある石橋犀水賞をいただきましたことは、まさに光栄の極みです。これも偏に、審査にあたられた石橋鯉城先生をはじめ諸先生方のお蔭と、厚くお礼申し上げます。

さて、現在、長引くコロナ禍の状況下、誰もが鬱屈した日常生活を強いられています。

今回の作品を制作するにあたっては、そんな中であっても楽しみや喜びといった幸福を見出し、いつまでも長く健康で幸せでありますようにという願いを込めて「禍中有福」「永受嘉福」を題材といたしました。普段は、平々凡々なサラリーマンで、これまで土日の空き時間を利用して趣味として篆刻を続けてきました。まだまだ理想とする「書刻一致」には、技術的にも精神的にも程遠く、作品制作の度に稽古不足と未熟さを痛感しています。

数年後、現在よりも自由な時間が増えた際にどれだけ情熱をもって取り組めるか、軟弱な性格ゆえ心許ないばかりですが、今回の受賞を励みとして、そして「継続は力」を座右の銘として、今後も精進していきたいと思っております。

末筆ではありますが、本展ならびに本会の益々のご発展を祈念いたしまして、お礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

石橋犀水賞 小野 和溪

小野 和溪

この度は日本書道教育學會が創立七十周年を迎えられた記念すべき年に、そして創立されました石橋犀水先生の御名を冠した栄えある賞を賜り、感慨一入でございます。

審査に当たられました石橋鯉城会長先生はじめ諸先生方に厚く御礼申し上げます。有難うございました。

顧みますと犀水先生ご存命中、講習会、文鳳会錬成会等で遠く岩手の地にもおいでになり、間近にご指導、ご批評いただいた折の慈愛に満ちたご尊顔を拝することができたことは、今も私の心の中の宝となっております。

今回展の出品作「虚往實歸」の大字作品は、体調、気力が整った時、全力投球で一気に数枚のみ書いた中の一枚でした。

今年、私は喜寿の年を迎えました。

これまでの長きに亘り、見守り、励まして下さいました恩師はじめ諸先生方、家族、友人、墨縁で結ばれた全ての方々に感謝しつゝ、今後とも体力の続く限り精進してまいりたいと思っております。これからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

末筆になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を祈念申し上げ、受賞の御礼のことばとさせていただきます。

審査会員推挙 内間 翠海

内間 翠海

この度は思い掛けず「審査会員推挙」という身に余る賞をいただきまして、驚きと喜びでいっぱいでございます。これも偏に石橋鯉城先生をはじめ審査にあたられました諸先生方のご厚情と深く感謝申し上げます。

今回出品しました「落」は、題材がなかなかみつけられずにいた中でやっと見つけたものです。コロナ禍の中、様々な場面でそれぞれがいろんな思いで向き合っていることと思います。落ち込むことの多い中、「次は上がっていくしかないのでは?」との思いも込め、書き進めていきました。

書の奥深さに戸惑いつつ、沖縄の地において玉城芳岳先生ご指導の下、書友の仲間と共に楽しみながら書に向き合い更なる研鑽に努め、私なりに表現していければと思っております。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展をお祈り申し上げます。

審査会員推挙 内村 泉水

内村 泉水

この度は第七十回書道學會展におきまして審査会員推挙という身に余る賞をいただきまして驚きと喜びで一杯でございます。

これも偏に、石橋鯉城先生はじめ、金曜日授業の小久保嶺石先生、書友の皆様、審査にあたられました諸先生方のご厚情の賜物と深く感謝申し上げます。

今回の漢字造型作品、一字書の「鷹」は厚手の画仙紙夾宣に、墨は松煙青墨の元燮を使用、はじめに大きな筆一本で、次に二本の合わせ筆で書いてみると絡み合う線が力強く、これに決定。「心の動きが線に出ますように!」と気合を入れて書きはじめ、数枚目の無心の作品でした。自由な表現ができる一字書は、とても楽しく、イメージしたものを一気呵成にと思いながらも筆のばらつきに苦心し、墨量も難しく、心残りはたくさんありますが、この受賞を励みに、一層研鑽を重ねてまいります。今後ともご指導賜りますようお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育學會、並びに書道學會展の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

審査会員推挙 景山 鳳苑

景山 鳳苑

この度は、第七十回という節目の年に審査会員推挙を賜り、驚きと喜びの気持ちで一杯です。これも偏に、会長先生をはじめ、審査にあたられました諸先生方のご温情のおかげと、心よりお礼を申し上げます。受賞を機に思うのは、恩師や家族の顔、そして学生の頃より厳しさの中に熱意をもって指導して下さった師進藤正則先生のことです。直接報告することができたなら、先生はどれほど喜んでくださるか…。今日まで多くの方に支えられ、私を書の道に導いてくださった恩師との出会いに感謝し、益々精進しなさいとの奨励の意と受け止めております。

私は、恩師に憧れ高等学校書道の教員になりました。今年は、予期せぬ新型コロナウイルスの影響を受け全校で休校となり、生徒のいない学校・授業ができない虚しさに何度も心が折れそうになったものです。しかし、その時に救ってくれたのは、やはり書道の存在でした。筆を持つ時間を作ることに努めなさいという先生の教えを守り、筆を持つ毎日でした。その時こそが、まさに生きていると実感できる瞬間でした。近年、本画箋で出品しておりましたが、今回は色用紙を使いました。改めて、紙に墨をのせるというのは簡単ではないなと、美しい墨色を目指して、試行錯誤の繰り返しでした。コロナ禍に無心で作品制作に励み出品したのが、今回の受賞作品です。今後さらに精進し、自己研鑚に努める所存です。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

審査会員推挙 北村 翆象

北村 翆象

この度は第七十回書道學會展におきまして会員推挙の賞を頂きまして本当に有難うございました。推挙して下さいました先生方には心から御礼申し上げます。

最初に私が仮名書道に魅せられましたのは学生時代に学んだ古典文字に興味を惹かれた頃からだと思います。平安時代のあの優美な歌や物語に憧れいつか私にもあのような歌が書けたらと願いつつ書を始めました。最初は本当に安易な気持ちでこの世界に入りましたが五十数年の間には何度も挫折を味わいました。でも同時にその世界の奥深さを知り、もっと深く勉強していく事が私の生き甲斐と思うようになりました。この年になって初めて作品を作る上で何かを表現するという事がどんなにむずかしいかがわかりました。私は途中からこの日本書道教育學會に移りましたので、最初は勉強の仕方がよくわかりませんでした。ある時、神奈川書友クラブがあるのを知り入会しました。そこで池田晴子先生はじめ諸先生方から熱心な指導を受ける事が出来ました。まず臨書から始めましたが基礎が出来ていない私にはよくわからずたゞ書いていただけでした。そこで臨書がいかに大切かを教わり書くうちに、これは本当に根気のいる作業だとわかりました。その後展覧会にも行き、人の作品から多くの事を学ぶ事が出来ました。

最後にここまで続けられたのは多くの先生方の御指導の賜物と感謝して居ります。日本書道教育學會の益々の御発展をお祈り申し上げます。

審査会員推挙 真藤 可穂

真藤 可穂

この度の第七十回、書道學會展において思いもかけず審査会員推挙の祝電をいただきまして、只々驚き感謝の念で一杯でございます。会長先生はじめ審査の先生方に心からお礼申し上げます。

日本書道教育學會の通信教育で学び始めて四十年程、遅々とした歩みながら続けてまいりました。書を続けていることで、毎年の學會展には学生時代の友人が恒例の行事として集ってくれています。私の励みにもなり皆も楽しみにしていましたが、今年はコロナの影響で残念ながら中止と致しました。

今回の作品は昨年に続き、たて三行書きのかなと決めて新古今和歌集より、春の歌二首を書作致しました。中央の行に寄り添う美しいかなの曲線、行間の余白、等々思いばかりが先行して書けば書く程静かにまとまってしまう自分の作品に悪戦苦闘、何より苦労したのが中央の行の漢字の線の甘さでした。やはり大字のかなは難しく自分の力の無さを痛感しました。師の「思い切って自由に書けば良い」の言葉に後押しされて試行錯誤を繰り返し最後は、自分の中のリズムを筆にのせて素直に書けたと思えるものを出品致しました。

まだまだ課題は山積みですが、今回の受賞を励みとして精進してまいります。今後共よろしく御指導の程お願い申し上げます。最後になりましたが日本書道教育學會の益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

審査会員推挙 中島 永岳

中島 永岳

この度、記念すべき第七十回書道學會展におきまして「審査会員推挙」の賞を賜りましたことは、会長先生を始め諸先生のご温情のお蔭と、深く感謝申し上げます。

思えば六歳の頃から習い始めた書は、途切れる事もなく細く長く私の人生の中にありました。不二誌、書学院、特設科での学び、書塾としての四十年近い年月にわたり、私を育てていただきました日本書道教育學會に、心より御礼を申し上げます。

今回の記念展の作品は、謝意を込めて賀の歌、コロナ禍の現状に屈しない明るい歌をと思っておりました。「朝日いま、のぼらんとして、くれなゐに東なかばを染めぼかしたり」清水比庵の歌二首を仮名作品に仕上げました。「賀」「寳」「舞」など変体仮名にも祝意を込めたつもりです。

指導者としての総合力を求められる中で、漢字、新和様、そして仮名をと追いかけ学んで参りましたが、奥深く、広く、学びの尽きない書の世界です。「学、芸、道」その楽しさを伝承していく事を使命としてこれからも精進して参ります。今後ともよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。

審査会員推挙 藤田 潮光

藤田 潮光

この度は第七十回書道學會展におきまして審査会員推挙を賜り、誠に有難うございました。第七十回という節目の年の受賞に、驚きと共に責任感を覚え、恐縮しております。

今回書きました「人間萬事塞翁が馬」は、以前から書きたいと思いつつ、平仮名が一文字のみで新和様にするには難しく、中々手を付けられずにいたものですが、今が書く時と取り組みました。

始めは新和様に見えるよう、添書を付けた構成にしておりましたが、思い切って添書は外して大きく書くことにしました。漢字作品と間違えられそうですが、特に部門分けも無かったので良しとしました。しかし後で見ると規格が小さ過ぎたこと、落款の位置が良くなかった等、反省しきりです。

コロナ禍で閉塞感のある中、集中してやれることがあるのは幸なことでした。年齢も重ねてまいりましたので、どこ迄できるか分かりませんが、この受賞を励みとして、今後も鑑賞できる作品が創れるよう精進致します。

最後になりましたが、日本書道教育學會のご発展を、心よりお祈り申し上げます。

旺文社社長賞 滝沢 石楠

滝沢 石楠

第七十回書道學會展に於きまして旺文社社長賞を賜り誠に有難うございました。レタックスによる知らせに驚きと共に喜びで一杯でございます。

これも偏に会長先生をはじめ審査に当たられました先生方のご温情と新潟書学院でご指導をいただいておりました吉田六嶺先生、そして長谷川白楊先生のおかげによるものと深く感謝しております。

近年の學會展では新和様、漢字造型を方形画仙紙を使用し出品して参りました。今回は久しぶりに縦作品に挑戦し、作品構成、余白を意識しながら気負う事なく書きました。

小学生時代に習字を習いそれから三十年後、新潟書学院で素晴らしい先生方、先輩の皆様方との出合いに恵まれ今日があります。

まだまだ未熟ですが、初心を忘れず更に精進して参所存でございます。

今後共、温かいご指導をよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。有難うございました。

旺文社社長賞 辰巳 望水

辰巳 望水

この度、第七十回書道學會展に於きまして、旺文社社長賞を賜りまして、喜びと感謝の気持ちで一杯でございます。

審査委員長石橋鯉城先生はじめ、諸先生の御温情に深く御礼を申し上げます。

今回の題材は、数年間、大切に温めておりました「鯱」です。伊東にある日本書道藝術専門学校へ通う途中、小田原駅のホームで見る朝日にキラリと輝く、小田原城の天守閣にある「鯱」は神々しく雄大で力強さがありました。

この気持ちを表現するには、どのように書けばよいのか…との試行錯誤の連日でした。三本の縦の線、大胆さと繊細さ、墨色の変化、特に最後の縦線が思うように書けずに迷いました。その時、石橋鯉城先生が、学生に「剣道では、竹刀での素振りを重んじている」とお話になりましたことを思い出し、剣道と書道の共通点は何かと考え、「呼吸法」「意前筆後」に心掛けましたが、表現するには不十分でした。今後の課題とし、この受賞を励みとし一層の努力と精進をしてまいりたいと思います。

石橋鯉城先生、石橋應和先生はじめ、諸先生方御指導、御鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

終りになりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

創立七十周年記念賞 鵜飼 山桃

鵜飼 山桃

この度は、書道學會展におきまして、「創立七十周年記念賞」との吉報を賜り誠にありがとうございます。

二年前には審査会員推挙をいただき、その名に恥じぬようにと、努力してまいりました。これも偏に、石橋鯉城先生をはじめ審査に当られました諸先生方の御厚情の賜物と深く感謝申し上げます。

「写経作品研究講座」で、恩師金子魚心先生、大倉彩華先生のご指導のもと楽しく写経を続けてこられたお陰で、コロナ禍のステイホーム中でも心穏やかにじっくりと作品を仕上げることが出来ました。写経は〝清浄心〟を養うことが目的といわれますが、本当にその通りだと実感しました。 今回の作品は、「妙法蓮華経提婆達多品第十二」「妙法蓮華経従地涌出品第十五」を題材としました。四天王寺経は、和風写経文字の結体の美が、特徴と言われています。繊細あり多肉ありの自在な線質をより実現できるようにと、一字一字丁寧に浄写させていただきました。黙々と写経と向き合う時間は至福の時でした。書学院に入学してから、三十二年がたった今、写経研究のクラスで学ばせて頂いていることがこの上なく幸せなことと感謝しております。この受賞を励みにして、一層の研鑽を深め、日々精進してまいります。諸先生方、書友の皆様、今後共よろしくお願い申し上げます。 最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心から祈念申し上げます。

創立七十周年記念賞 大塚 芝晃

大塚 芝晃

この度は、思いがけない「創立七十周年記念賞」を賜り、信じられず驚くばかりでございました。偏に、石橋会長先生はじめ諸先生方の御指導のお蔭と心からお礼申し上げます。

今回の作品は、大阪書学院において、会長先生の一字書講座を受講する機会に恵まれました。書作には竹筆、山馬筆、蔓かずらの筆等、さまざまな用具が使われることを改めて知り、折にふれ用具を購入しました。その用具にこだわり、筆の穂先が二十二センチ、軸径が三.五センチの超長鋒を使っての挑戦でした。學會展の最大寸法規格に大字三字を楽しく書くことを目標に制作に取りかかりました。今まで使ったことのない鋒の長さに思うように筆が動いてくれません。「筆鋒の活躍がなければ書ではない。」師の言葉を胸に試行錯誤しましたが、納得のいく表現が出来ず、さらに納得のいく表現を求め濃墨を淡墨に変更しました。一字の中に陰陽の筆使いと淡墨のにじみの面とかすれの美しさを表現しました。

私事ではございますが、昨年の十月、主人に旅立たれ、そして今年のコロナ禍の中、息子の二回目の海外赴任に私だけが取り残された思いで茫然としておりました。幸いにも「書」は私に生きる力を与えてくれました。

まだまだ未熟な作品ですが、このような大きな賞を戴き感謝の念で一杯です。

この受賞を励みとして、なお一層精進してまいりたいと思います。これからも温かいご指導をよろしくお願い申し上げます。

創立七十周年記念賞 中村 清徳

中村 清徳

この度、學會創立七十周年記念展に於きまして、記念賞を賜りましたことは身に余る光栄と驚喜致して居ります。これ偏に石橋会長先生はじめ、審査にあたられました先生方の御恩情と深謝申し上げます。本年はコロナの危険な中でのご審査、ご心労の中誠に有難うございました。

思いおこしますと七十年前、高校時代に石橋犀水先生のご指導を受け、不二誌との出会いがありましたが、その後空白がありつつ復帰し、現在まで継続出来ました喜びを痛感致して居ります。

出品作は、新古今和歌集より四季の花の歌を選歌、壁面作二段に仕上げました。上下二段の調和、線の深み等々苦慮し思うような纏まりが出来ずの出品となりました。創立七十周年の喜びをこめて紅白の料紙で仕上げました。意あまって力足らずの作品に、栄ある賞をいただきましたこと、もう一息精進せよとの御恩情と受けとめがんばって参る所存でございます。御指導と御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

日本書道教育學會の益々の御発展を祈念しお礼の言葉とさせていただきます。

創立七十周年記念賞 酒部 麗華

酒部 麗華

創立七十周年おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。この度は記念賞をありがとうございました。コロナ禍の中、発表の場をいただけた上に賞まで頂戴できますことに感謝いたします。末席を汚しております私にとってなによりの励みとなります。ただ書くことが好きなだけの私ですが、時には、上達しないことにいらだち、悲観して書くことをやめようかと思うことも度々ですが、写経することにより、少しずつですが、心を落ち着かせることができるような気がしてきました。まだまだ未熟、浅学の身ですので、これからもひたすら書いて、精進してまいりますので、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

學會の皆様のご多幸とご健康をお祈り申し上げます。

創立七十周年記念賞 髙見 雪華

髙見 雪華

この度、第七十回書道學會展の出品作に「創立七十周年記念賞」を賜り、心より嬉しく有難く思い、感謝と感激で一杯でございます。これも偏に石橋鯉城先生をはじめ諸先生方のお蔭と深く感謝しております。

今年はコロナウイルスで世界中が大変な一年となってしまいました。日本も大変な被害を受け、国民も不安の中から抜け出せない状態でいます。年末でありながら、先が見えないまま新しい年を迎えようとしています。

そのような中、篆刻と向き合う事となりました。時間もあり篆書を「書する」事に集中できたように思います。結果、篆刻につながったかなぁと思います。今回の作品は、先を見ずに、まずは足元を見ようという思いで刻しました。基本に立ち返り、丁寧に取り組みました。

篆刻の奥深さに、自分の未熟さを思い知るばかりですが、先人の篆刻、書を学習し、これからも書法と刻技が結びついた作品を目指していきたいと思います。

今後とも、ご指導下さいますようよろしくお願い致します。有難うございました。

創立七十周年記念賞 安廣 清翠

安廣 清翠

五年前、第六十五回書道學會展に於いて、「名誉会長賞」、第二十九回不二現代書展、第一部新和様部門で「創立六十五周年特別賞」を賜り、今回又、七十周年の節目の年に栄誉ある記念賞を賜り思いもよらぬ出来事に、驚きと喜びで一杯です。

これも偏に石橋鯉城先生をはじめ審査に当られた諸先生方のご温情の賜物と心から感謝申し上げます。又、共に学び励まして下さる書友の皆様、家族の理解に深く感謝致します。

今回の拙作は、試行錯誤のなか気分転換に筆を取り替え、別文字を書いてみましたが線質の変化と余白美が豊かに感じられた方の「嘯」の文字を出品させて戴きました。(次への課題として初めに取り組んだ文字、筆も大切に温めておきたい。)今後ともよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。

新型コロナの第三波拡大により、九州書学院の授業も休講、それでも書する事が出来る幸せに、環境に、感謝致します。

終わりになりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

文部科学大臣賞 天艸 悠月

天艸 悠月

この度は文部科学大臣賞という吉報を頂き信じられない気持ちでいっぱいです。コロナ禍において審査に当たっていただきました先生方、本当にありがとうございました。

今回の作品は仙台在住の水彩画家、古山拓さんの一枚の抽象画に添えられた文章の一部を書かせていただきました。「イギリス中部、ヨーク博物館の一角、発掘されたタペストリーが展示されていた。(中略)素描を描き留めているといろいろな縁が浮かんでは消えていく。今を生きる誰もが太古からの記憶をのせた舟」 文字も古人の記憶とも呼べる知恵や思いをのせて伝わってきました。人間も原始からいろいろな困難や変化に対応し、現在の私たちに繋がっています。壮大な時の流れを自分の内に感じ、今だからこそ、この言葉を書いてみたいと思いました。

このような賞を頂けましたのは、東日本大震災後、やり場のない気持ちを抱えていた時に、公募展出品へ背中を押してくださった伊藤泉鶴先生、そして遠方からいつも見守ってくださっている大学の恩師難波清邱先生、お二人のお陰と感謝の念でいっぱいです。今回の受賞を新たなスタートとし、精進を重ねて参ります ので、今後ともご指導の程宜しくお願いいたします。

末筆になりましたが、日本書道教育學會の一層のご発展を祈念いたします。

文部科学大臣賞 平澤 泉舟

平澤 泉舟

このたび、第七十回書道學會展におきまして文部科学大臣賞という、身にあまる栄誉を賜りとても信じられず、ただただ驚くばかりです。

これもひとえに石橋会長先生をはじめ、諸先生方のご厚情と深く感謝を申し上げます。本当に有難う存じました。

神田書学院に通ってはやくも十二年、写経作品研究では恩師の金子魚心先生、水野興子先生、現在は大倉彩華先生のご指導を受け、そのおかげにて現在の私があるものと深く先生方に感謝する次第です。

今回は轉輪聖王経を浄書させて戴きましたが、たいへん難しく難儀致しました。牛歩のごとく成長の遅い私ですが、お経を通して仏教の真髄に触れられる事も有難く思い、今回の受賞を機に心も新たにコツコツと写経の勉強をして参ります。

諸先生、書友の皆様には今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

末筆ではございますが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

東京都知事賞 大石 香城

大石 香城

この度は、第七十回書道學會展におきまして、東京都知事賞という輝かしい賞を拝受し身の引き締まる思いと、感激で一杯でございます。これも偏に審査していただきました石橋鯉城先生を始めとする諸先生方、日頃よりご指導いただいております林田香濤先生並びに書友の方々のお陰と、厚く御礼申し上げます。

私はここ数年、「黄山谷」の臨書に取り組んでまいりましたが、まだまだ未熟であり、この様な評価をいただき、大変恐縮しております。賜りました賞を糧に、退職後の趣味の書でありますが、これからも体力の続くかぎり、書に親しみ、楽しむ心を大切に精進してまいりたいと存じます。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

法隆寺管長賞 久慈 一峰

久慈 一峰

この度、第七十回學會展に於いて、法隆寺管長賞という身に余る栄誉を賜り誠に有難う御座いました。

審査に当たられました石橋鯉城先生はじめ諸先生方に厚く御礼申し上げます。又日頃ご指導いただいております先生方、共に学び励ましてくださる書友の皆様、そして家族の協力に感謝いたします。

今回受賞いたしました「稱讃浄土佛欇受経」は阿弥陀経の異訳で阿弥陀仏と極楽浄土を称賛したお経で玄奘三蔵が訳したものです。そのお経を藤原鎌足の曽孫中将姫が、亡き母の許、極楽浄土へ導かれることを願って壱千巻書き上げたと伝えられております。このようなお経を私が浄写させていただきましたことをとても有難く思います。

學會展に出品するにあたり今回はじめて全紙二枚の大作に挑戦致しました。文字数四千字余、字粒を揃え、墨色を統一するなどなど・・・・未熟な私にとりまして労の多い作品でしたが思いもよらず賞をいただき驚きとうれしさでいっぱいでございます。

この賞に恥じることのないようにこれからも精進して参りたいと思います。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々の御発展を祈念申し上げ感謝の言葉とさせていただきます。

会長賞 岩崎 等

岩崎 等

この度、第七十回の伝統ある書道學會展で、「会長賞」という身に余る栄誉を賜り、誠にありがとうございました。頂いた通知は早速家の神棚に捧げました。

定年退職後、約2ヘクタールで米作りをしながら、趣味の書道を生きがいに公募展に出品しております。

特定の先生には就かず、書道講座等に参加し、その時の先生や受講者の皆さんの熱意やパワーを吸収しながら、モチベーションの維持に努めております。

公募展で入選すれば最高の喜びとしている中で、書道學會展は、落選も経験しながら六十七回學會賞、六十九回理事長賞、そして、今回の会長賞と、続く受賞は、望外の喜びとともに感謝、感激で一杯であります。

これも一遍に審査に当たられました石橋鯉城先生をはじめ、諸先生方の温情のお陰と厚くお礼申し上げます。

この度の受賞を励みに、体力、気力の続く限り精進して行く所存でございますので、よろしくご指導いただきますようお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げ、お礼といたします。

会長賞 梅澤 好泉

梅澤 好泉

この度、第七十回書道學會展におきまして、会長賞と言う身に余る栄誉を賜り誠に有難うございます。感謝の念で一杯でございます。これも偏に、作品審査に当たられました石橋鯉城会長先生をはじめ諸先生方の御温情のお陰と深く感謝申し上げます。 また、日頃よりかなの臨書に大切な「水」から始まり墨色、潤渇、文字の変化を丁寧に御指導頂いております。竹澤光邨先生の教えがあったからこそと心よりお礼申し上げます。

そして共に学び励まして下さる書友の皆様と長きにわたりそっと見守ってくれた主人に深く感謝致します。

今年は世界中がコロナ禍の中、日々の暮しもままならず、書学院も休校になり自粛生活が続く世相に於いて、學會展の作品選びに迷ってしまいましたが、前回に続いて「中務集」を最後まで完成させる事を目標に書き始めました。一字一字丁寧に、何度も何度も書き直し、「これで良かったのかな?」という思いで書きあげました。

かな臨書は奥深くこれから先の道のりの第一歩にすぎません。この会長賞を糧にこれからも一層の精進をして参りたいと思います。

最後に成りましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

今後とも御指導賜りますようお願い申し上げます。

誠にありがとうございました。

会長賞 村岡 凌泉

村岡 凌泉

この度は、第七十回書道學會展におきまして、会長賞という身に余る栄誉な賞を賜り、誠に有難うございました。第七十回の節目の年でもあり、とても光栄です。受賞通知が届いた時は、驚きと嬉しさが込み上げてきました。

これも偏に、審査に当たられました石橋鯉城先生はじめ、諸先生方のご厚情と心より感謝を申し上げます。また、これまでご指導いただきました故佐藤平泉先生、三浦真琴先生をはじめ、書友の皆様に支えられてきたお陰と、有難く感謝しております。

今回は、これまで取り組んできた篆書、甲骨文で出品致しました。篆書と出会ったのは、高校の書道部時代でした。何を書こうか作品集を眺めていた時、呉昌碩の篆書に魅了され、そこから篆書作品に取り組むようになりました。高校生で甲骨文作品に取り組んだことがあり、その時は正直私には難しいと感じたのを覚えています。ここ数年、再び甲骨文に取り組み、高校生時代とは違うものを感じました。まだまだ未熟な作品ですが、絵画に近い文字に面白さを感じ、楽しみながら作品を制作することができました。

これまで、書道を続けてこられたのは、ご指導いただいた皆様のお陰です。これからもこの賞を励みに、より一層、日々精進致します。今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

会長賞 村越 桂舟

阿部 彩雪

この度は、第七十回書道學會展におきまして栄誉ある会長賞を賜り、誠にありがとうございました。これも偏に審査にあたられました石橋鯉城先生はじめ、諸先生方のご厚情と深くお礼申し上げます。そして、内山玉延先生には温かいご指導をいただき心から感謝致しております。

顧みますと、幼少の頃から絶えず書に関わってはいましたが三年前の内山先生とのご縁が篆刻との出会いでありました。習い始めてみますと学ぶべきことが多数あることの驚きと同時にひとつひとつ道具を揃えていく楽しさを感じたことを鮮明に覚えています。先生からは篆刻は篆書が基本。「刻す」前段階の篆書を「書する」ことは必然であり、それが筆意の融合に繋がっていくと教えていただき、小篆と印刻を並行して習っているところですが、学べば学ぶ程、一本の線がほんの僅かに動いただけで作品に凄まじい影響を与えるこの方寸の世界に大きな魅力を感じています。

閉塞感が漂うコロナ禍で受賞させていただいたことは未熟な私にとって未来への希望となりました。まだまだ学ぶべきことは沢山ありますが、今回の受賞を励みに一層精進してまいります。今後ともご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育學會の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。